くだもの辞典
さくらんぼ
来歴

さくらんぼには、酸っぱくて主に加工に利用されている品種と酸味が少なく生食主体の品種がありますが、その原産地は、前者の酸果種は中国等アジア東部とされ、後者の甘果種はヨ−ロッパとされています。

栽培が始まったのは紀元前1世紀ごろで、イタリアで栽培されていた野生種がヨ−ロッパ各地へ伝えられたといわれています。現在栽培されている品種は、16〜17世紀にヨ−ロッパで育成されたものと、18〜19世紀にアメリカで育成された品種を親として近年改良育成されたものです。

日本でさくらんぼの栽培が始まったのは、明治5年に北海道開拓使がアメリカから25品種を導入してからといわれています。その後、中国やフランスからも次々に導入され、北海道、東北、信越地方に配付されました。中でも山形県では県が主体となりさくらんぼ栽培を奨励したことから、1940年には生産量は5,000tとなり、日本のさくらんぼの大半を生産する県になりました。第二次世界大戦中は穀物優先が叫ばれ、生産量はピ−ク時の2割まで減少しましたが、戦後再び山形県を中心に増植が進み、現在では栽培面積4,830ha、生産量19,000tまで拡大しました。

日本では生食が中心であることから、栽培されている品種も甘果種が主体に育成されてきました。近年、黒紫色のさくらんぼが外国から輸入されていますが、外観、食味ともに国産さくらんぼとは異なることから、消費者は別の果物と捉えているようです。

主産地

世界の主要生産国と日本の主要生産県は、次のとおりです。

主産地
種類

現在日本で栽培されている品種は、ナポレオン・高砂を除き日本で育成された品種で、果皮色が黄色地に紅色が入る白肉種が主力品種となっています。かつては加工原料用の酸果種も栽培されていましたが、加工原料価格が不安定であったため、生食用品種に更新されてきました。また諸外国の主力品種である果皮色が暗赤色の品種もありましたが、日本では普及しませんでした。1900年代の中期までは加工原料、生食の兼用品種であるナポレオンが主力品種でしたが、後期には糖が高く、酸が低く、裂果が少ない生食用品種が次々に育成されました。その結果現在ではナポレオンに替わり、生食での食味が勝る佐藤錦が主力品種になっています。また果皮色が濃い黄色の品種も育成されましたが今はあまり見かけられなくなりました。

さくらんぼは同一品種の花粉では授精しない(自家不和合性)性質があり、植栽する時は交雑和合性のある授粉用品種を混栽しないと果実が成りません。ナポレオンや高砂は比較的他の品種との交雑和合性のある品種です。

代表的な品種は、以下のとおりです。

品種名 果皮色 果実重 糖度 酸度 収穫期
高砂 赤黄色 5〜6g 13〜15 0.7 早生
佐藤錦 鮮紅色 6g前後 13〜18 0.6 中生
ナポレオン 6〜7g 13前後 0.8 晩生
南陽 淡紅色 8〜9g 14〜16 0.6
月山錦 黄色 9〜10g 16〜18 0.6
北光 鮮紅色 6〜7g 14〜16 0.6
紅秀峰 9〜10g 18〜20 0.6
旬の時期

さくらんぼの栽培はほとんどが露地栽培ですが、収穫期に雨に当たると果実が水分を吸収し裂果してしまうことから、樹または園地全体に雨避けのための屋根をかける雨避け栽培が行われています。また一部ではビニ−ルハウスの中で加温をして早期に出荷するハウス栽培や、樹を冷蔵庫に入れて強制的に休眠打破し、その後加温をして冬に果実を収穫する技術も開発されています。

露地栽培のさくらんぼの主要出荷時期は、年によって多少は異なりますが、おおよそ6月中旬〜7月上旬です。アメリカから輸入される暗赤色のさくらんぼは、これよりやや早く5月中旬〜7月下旬にかけて出回ります。また、国産のハウスさくらんぼの早いものは12月から出荷されています。

おいしい果実の選び方
果皮 表面に光沢があり、傷や褐変がないもの。
果肉 硬く果肉のしまっているもの。軟らかく、果肉が水浸状になっていないもの。
果柄 緑色で萎れていないもの。
食べ方のポイント

日持ちがしないので、なるべく早く食べるようにします。冷やして食べると、酸味がおさえられて甘さが引き立ちます。

貯蔵方法

冷蔵に弱いので、長く冷蔵するのは良くないでしょう。

栽培方法
さくらんぼの一年間の主な栽培管理作業を紹介します。
代替画像
関連コンテンツ
旬・選び方
旬・選び方
産地MAP
産地MAP
くだもの辞典のトップへ戻る
Copyright (c) kudamono 200. All Rights Reserved.
page top