バラ科のさくら属の落葉性小高木です。原産地は、"桃源郷"という言葉があるように、中国南部の高原地帯といわれ、中国では野生種を改良した品種が紀元前から栽培されていました。ヨ−ロッパには紀元前1世紀ごろにペルシャを経由して伝えられ、やがて世界各地で広く栽培されるようになりました。 中国から日本に伝えられたのは弥生時代といわれ、主に厄除け・薬・花木として栽培されていました。平安朝末期には食用にも利用されるようになりましたが、現在のようなももではなく、果実の大きさは25〜75gと小さく、硬い、あまりおいしいものではありませんでした。現在のようなももが育成されたのは明治時代以降で、中国や欧米から導入された品種の自然交雑の実生から優良品種が神奈川や岡山で相次いで発見され、多くの品種が生まれたのが始まりです。大正時代に入ると国や県の果樹試験場が中心となり、多数の優良品種が育成され、民間の偶発実生の発見と相まって、日本独特の白肉で軟らかく、甘味のある一連の品種群が育成されました。 一方ヨ−ロッパでは果実表面に毛がなく食味が濃厚なネクタリンや、アメリカでは缶詰等の加工に適した果肉が硬く、黄肉の品種もたくさん育成されています。 |
世界の主要生産国と日本の主要生産県は、次のとおりです。 |
ももは、果実表面の毛の有無による有毛品種(普通のもも)と無毛品種(ネクタリン)、果形による球形品種(普通のもも)と円盤形品種(蟠挑)、種と果肉が離れやすい離核品種と粘核品種、果肉が柔らかい溶質品種と硬いゴム質品種、果肉色が白い白肉品種と黄色い黄肉品種等、様々な分類方法があります。 日本で栽培されている主力品種は有毛、球形、粘核、溶質で白肉の品種が中心ですが、補助的にネクタリンや黄肉品種、ゴム質品種も栽培されています。
日川白鳳
早生系の代表品種であり、小売店で最初に目にするももとなりつつあります。山梨県で「白鳳」の枝変わりとして発見されました。果重は200〜250gと中形で甘味も中位で酸味が少なく多汁です。(主な産地は山梨、和歌山) 白鳳
白桃より約1カ月早く熟して、モモの需要の多くなる7月に出荷できる中生種です。近年はハウス栽培も盛んで4月ごろから店頭に出回っています。核離れはよくないですが、肉質は酸味が少なく、緻密で多汁な優良品種です。(主な産地は山梨、和歌山、長野、岡山) あかつき
「白鳳」と「白桃」を交配育成した中生種で、「白鳳」よりやや収穫が遅いです。肉質は緻密で果汁が多く、「白鳳」より糖度が高く微酸のももです。(主な産地は福島、長野、山梨) 清水白桃
白桃の実生と推定されている中生種です。果皮の着色は少なく、無袋果は陽光面が淡く着色する程度です。強い着色を好む関東市場では、袋がけ後、除袋して着色を向上させています。果肉は乳白色で核周辺の着色は少なく、果肉類の紅色素も少ない。肉質は柔らかく、多汁で酸味が少ないです。7月下旬から熟し始めます。(主な産地は岡山、和歌山) 川中島白桃
長野県の池田正元氏が偶発実生から育成した品種で、果重が300〜350gの大玉で日持ちの良い晩生種です。肉質はややゴム質ですが、果汁が多く微酸で味は濃厚です。(主な産地は長野) 黄金桃
川中島白桃の偶発実生の中から選抜育成した、黄肉系の新品種です。果形は円形で果皮は黄色地に中程度の着色があって美しく、強い甘味を持ちながら程良い酸味も持っています。日持ち性がよく、収穫期は川中島白桃よりもやや早い8月下旬です。(主な産地は長野、岡山、福島) |
ももの生産量は15〜18万tですが、うち早生品種が2割、中生品種が5割、晩生品種が2割、残り1割はネクタリンや缶詰用品種です。また、1,500t前後の施設栽培ものもあります。施設栽培のももは真冬に出荷されるものもありますが、露地ももの出荷は6月末〜9月半ばまでで、出荷のピ−クは7月、8月です。ももは収穫前1カ月前後の天候により食味が大きく左右され、この期間晴天が続き、雨が少なければ、おいしいももができます。 |
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甘味が高いのは、軸と反対側の果頂部や表皮に近い部分で、軸に近い部分や溝の部分はやや甘味が劣ります。またあまり冷えすぎると食味が落ちるので、冷蔵庫には食べる1時間くらい前に入れるようにします。 |
乾燥しないよう、ポリエチレン袋に入れ、 |
ももの一年間の主な栽培管理作業を紹介します。
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