くだもの辞典
ぶどう
来歴

ぶどう栽培の歴史は古く、紀元前から広く栽培されていたといわれています。現在栽培されている品種の祖先は、ヨ−ロッパブドウとアメリカブドウの2つに分類されます。ヨ−ロッパブドウはロシアのコ−カサス(カフカース)地方が原産といわれ、ヨ−ロッパやアジアの各地に伝えられました。品種の特性としては、雨が少なく乾燥した温暖な地域で育成されたため、乾燥には強いが病気や寒さに弱く、また雨による裂果が多いため日本の気候には馴染まない品種とされています。一方、アメリカブドウは北アメリカ東部の原産といわれ、これにヨ−ロッパブドウが交配されて多くの品種が育成されました。このアメリカブドウは病気や寒さに強く、雨の多い地域でも栽培可能なため、日本で栽培されている品種の主力となっています。

日本へは、717年僧行基が中国から導入したとも、1186年山梨県で甲州種が発見されたのが最初ともいわれています。しかし本格的に栽培されるようになったのは、明治時代に入ってからで、初めにヨ−ロッパブドウが導入されましたが、日本の気候に合わず岡山県でのハウス栽培以外では定着しませんでした。続いて導入されたアメリカブドウは、デラウェアやキャンベル・ア−リ−等の品種が山梨県で成功し、やがて全国に広がりました。現在日本で栽培されている品種の多くは、このアメリカブドウにヨ−ロッパブドウを交配して育成された品種で、日本の気候に適した品種となっています。

主産地

ぶどうは、ぶどう酒や干しぶどうに加工されますが、これら加工専用種を含めたぶどうの世界の生産量は7,720万tであり、果樹の品目ではバナナ、すいか、りんごに次ぐ4番目に多い生産量となっています。世界の主要生産国と日本の主要生産県は、次のとおりです。

主産地
種類

ぶどうの果実は多種多様で、果房や果粒の特徴で分類すると果房の大きさで大房系、中房系、小房系、果粒の大きさで大粒系、中粒系、小粒系、果皮色で黒系、赤系、緑系、さらに種なし、種あり等に分けられます。それぞれの代表的な品種は以下のとおりです。

収穫期 果粒 果粒形 果皮色 糖度
デラウェア 早生 豊円 明赤 18〜20
巨峰 中生 黒紫 16〜18
ピオーネ 16〜18
ネオ・マスカット 長円 黄緑 16〜18
キャンベル・アーリー
豊円 黒紫 16〜18
マスカット・ベリーA 18〜20
ロザリオビアンコ
中晩生 黄緑 18〜20
ルビー・オクヤマ 長円 鮮紅 18〜20
シャインマスカット
豊円 黄緑 18〜20
甲斐路 晩生 長円 鮮紅 18〜20
マスカット・オブ・アレキサンドリア 温室 長円 黄緑 16〜18
グローコールマン
豊円 黒紫 16〜18
巨峰

昭和12年に大井上康氏がアメリカ系の石原早生にヨーロッパ系のセンテニアルを交配し、育成した4倍体品種です。果粒は巨大、逆卵型で15g。果皮は濃紫黒色、果肉は締まり、果汁は多く、糖度も高く、日本人好みの食味です。現在ぶどうの品種の中で最も生産量が多く(ぶどう全体の3割強)、巨峰の性質を継いだ品種(ピオーネ等)が数多く生まれています。露地ものの成熟期は8月下旬から9月上旬。ハウス栽培ものは初夏に出回ります。(主な産地は長野、山梨、福岡、愛知)

マスカット・ベリーA

日本の土地に合う欧州ぶどうを作るため、ベーリーにマスカット・ハンブルグを交配・育成してできました。赤ワインの原料としても適しています。成熟期は9月中〜下旬で、最近では種なしのウエイトが増えています。(主な産地は兵庫、山形、大分、山梨)

デラウェア

アメリカの州の名前にあるとおり、アメリカ原産(実際はオハイオ州の地名からつけられました)で、明治15年日本に導入されました。生産量は巨峰に次いで2番目に多い品種です。しかし、種なしの技術を開発したのは日本です。今では、種なしが当たり前のようになっていますが、消費者の皆さんが食べやすいように手間のかかる作業を行い、種をなくしています。粒は小さいですが糖度は22〜23度と果物の中で最も高く、多汁でおいしい果物です。露地ものは8月上旬で、ハウス栽培の果実は4月から収穫できます。(主な産地は山形、山梨、大阪、島根)

ピオーネ

静岡県の井川秀雄氏が昭和32年に巨峰にカノンホールマスカットを交配して育成したもので、48年にピオーネと命名されました。果粒は、13〜15gと巨峰より一回り大きく、果皮は濃黒色でつやがあり、果肉は締まっていますが、なめらかで風味は濃厚です。房は350〜400gあり、全国各地で栽培が増加している品種です。最近は種なしのものが多くなり、食べやすくなっています。また、種なしは冷凍庫に入れて凍らせると、おいしいシャーベットとしても楽しめます。成熟期は巨峰よりやや遅い8月下旬から9月中旬にかけてです。(主な産地は岡山、山梨、広島、香川)

甲斐路

フレームトーケーとネオ・マスカットを交配して育成した極晩生種で、香りは少ないが甘みが強く酸味が少ないのが特徴です。果皮は鮮紅色。粒が落ちにくいので貯蔵や輸送に適しています。山梨の特産品で成熟期は9月下旬から10月上旬にかけてです。(主な産地は山梨)

ルビーオクヤマ

高級品種イタリアの枝変わりで、果皮が美しい赤紫に色づく。巨峰群品種に続く高級品種です。欧州種特有のマスカット香があり、甘みは中程度ですが酸味は少ないです。(主な産地は長野、山梨)

ネオマスカット

病気に強く、雨による病気や裂果に抵抗性があります。露地栽培ができる欧州系の品種として戦後に栽培が始まりました。果肉は酸味が少なく、果皮は厚めで、色が黄緑色から黄白色に変化します。弾力があるので貯蔵や輸送に適しています。成熟期は8月から9月中旬です。(主な産地は山梨、岡山、香川)

マスカット・オブ・アレキサンドリア

アレキサンドリアとも呼ばれています。マスカットとは「麝香の香りがする」という意味です。エジプト原産でクレオパトラも食べたと伝えられ、世界的に人気が高い品種です。高温・乾燥を好むため日本やイギリス、北欧でガラス室栽培されています。完熟すると淡黄色になります。熟期は9月中旬ですが、加温栽培で5月下旬には出荷されています。(主な産地は岡山)

旬の時期

ぶどうの生産量は20万t程度ですが、そのうち2割強程度がビニ−ルやガラスのハウスで施設栽培されています。加温ハウス栽培のぶどうは、早いものでは4月から出荷されますが、露地ものの出荷最盛期は7月末から10月末です。

主な品種(露地)の主要出荷時期は以下のとおりです。

グラフ
おいしい果実の選び方
房 形が整い、脱粒していないもの。
果粒 張りがあり、果粉がきれいについているもの。
潰れや割れがないもの。
黒系や赤系品種では果皮色が濃いもの、黄緑系品種ではやや黄色のもの。
軸 太く、皺がなく、褐変していないもの。

ぶどう果粒表面の白い粉は、病気や乾燥から果実を護るためぶどう自身が出す油脂成分で、果粉(ブル−ム)と呼ばれています。この果粉がきれいについているのが新鮮の証です。

食べ方のポイント

ぶどうの甘さは房の上部(肩)の方が強く、房の下の方から食べ始めると最後までおいしく食べられます。また皮の部分に多くの健康に有効な成分が含まれているので、皮ごと食べることをおすすめします。

貯蔵方法

乾燥しないよう、ポリエチレン袋に入れ、
貯蔵すると良いでしょう。

栽培方法
ぶどうの一年間の主な栽培管理作業を紹介します。
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