くりの野生種は世界の温帯地域に広く分布していますが、現在栽培されているのは、ニホングリ、チュウゴクグリ、ヨ−ロッパグリで、アメリカグリは18世紀末に蔓延した胴枯病により枯れてしまい、栽培されているものはほとんどないといわれています。チュウゴクグリの1つは天津くりとして輸入されており、ヨ−ロッパグリはマロングラッセの原料等に利用されています。 日本で栽培されている品種は野生のシバグリから品種改良されたもので、ほぼ全国で栽培されています。栽培の歴史はきわめて古いといわれていますが、7世紀末には既に広く栽培されていました。最も古い栽培の歴史があるのは丹波ぐりで、江戸時代に京都、大阪、兵庫にまたがる地域から出荷される、大粒のくりを総称して丹波ぐりと呼ばれていました。 品種の調査が行われた1913〜14年当時は、各地域に特色ある品種がありましたが、1950年代に全国に蔓延したクリタマバチの被害により、多くの品種が淘汰されてしまいました。以降の新植はクリタマバチ抵抗性の品種(丹沢、筑波、銀寄等)が中心となりましたが、最近、これらの品種の抵抗性低下が見られるようになっていることから、さらに抵抗性のある品種の育成が進められています。 |
世界の主要生産国と日本の主要生産県は、次のとおりです。 |
現在日本で栽培されている品種はほとんどがニホングリですが、一部チュウゴクグリと交配した品種もあります。ニホングリは、ヨ−ロッパグリやチュウゴクグリに比べて甘味がやや少なく、渋皮の剥皮が困難ですが、果粒が大きいといった特徴があります。一方、チュウゴクグリは渋皮の剥皮が容易であるため、これを交配することにより、渋皮の剥皮が比較的容易な利平という品種も育成されています。さらに2006年には、果樹研究所において大果で渋皮の剥皮が容易なぽろたんが育成され、急速に普及しています。 クリタマバチの蔓延以降、地域の特色ある品種の多くは淘汰され、代わって抵抗性品種に改植されました。現在の主力品種は、早生系の丹沢、国見、中生では筑波、銀寄、利平、晩生では石鎚等の品種となっています。 代表的な品種は以下のとおりです。
|
くりの主な出荷時期は9月と10月ですが、 |
|
家庭での食べ方は様々で、煮ても焼いても蒸しても良く、鬼皮、渋皮を剥いて甘露煮にしたり、渋皮をつけたままの渋皮煮、くりごはん等も楽しめます。甘露煮にしたものは、くりきんとんやくり羊羹にも加工されます。 生くりの鬼皮を剥く時は、1晩水に漬けると剥きやすくなります。渋皮を剥く時は、鬼皮を剥いたくりをミョウバンを少し入れた溶液に1晩漬けると剥きやすくなります。 |
生くりは収穫後の日数がたつと、乾燥により品質が低下するので、できるだけ早く食べるようにします。どうしても保存したい場合は、水に漬けて冷蔵庫に入れておけば1ヵ月程度は保存できます。 |